読みやすい!
とても読みやすい・・・
しかも勘当できる!
著者の真骨頂を見た・・・
「小所低所」からの教育論。
筆者があとがきで書いているように、「大所高所」からの大まかな教育論ではなく、「小所低所」からの視線で書かれている。書かれているテーマも、道徳、不登校、思春期、性…と多岐にわたっていて、実例も挙げながらの論なので、現場教員にとっても非常に参考になった。 話も分かりやすく書かれていて、しかも内容が濃くて、オススメの本です。
著者が「臨床教育学」という新領域をひらいて書かれた本
教育、道徳、性、思春期等、すべて聞き慣れた言葉であり、特別な専門用語は一切出てこない。これらの言葉に著者が魂の息吹を吹き込むと、見えてくる世界がある。 そこには固定化された解は無く、相反する事柄や遥か昔に忘れ去った事柄が想起される。 想起される事柄は日常生活で忘却されがちだが、逃げることなく全身全霊で取り組み精一杯生きてみよう、という著者からの応援歌が聞こえてくる。 こどもを見守るには、エネルギーが無茶苦茶いることが分かる。
「教える」と「育てる」
臨床心理家として活躍してきた著者による、本書は概念的なものを扱っているのではなく、実践的で、いつの時代にも当てはまるものとして、読み取る事が出来た。というのも、1992年に初版が発行されたのにも関わらず、現在の 教育にも、十分対応しうる内容として感じられたからである。著者がよく教育の観点として用いる「父親の目」、「母親の目」からの学校への批判的な文章は、教育の問題点を浮き彫りにさせており、その際の対策も具体的に述べられている。 「教える」事に重点を置き、「育てる」事を軽視した教育が、いかに危険である事なのか、またそれがいかに子供の自由な発想を妨げているのか、を知ることが出来、深く考えさせられた。児童生徒のカウンセリングなども行っている臨床心理家ならではの意見ではないだろうか。 また「体育の笛」の意義、「不登校の「処方箋」」というユニークな観点からの論述は、読みやすく、興味を次々へと発展させ、教育というものがいかに学際的な視点を必要としているのか、といった示唆を含んでいるものだと感じられた。 まとまりがあり、非常に勉強になる本であった。
岩波書店
子どもの宇宙 (岩波新書) 子どもと悪 (今ここに生きる子ども) 「子どもの目」からの発想 (講談社プラスアルファ文庫) Q&Aこころの子育て―誕生から思春期までの48章 (朝日文庫) 父親の力 母親の力―「イエ」を出て「家」に帰る (講談社+α新書)
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